防風通聖散とは、おへそを中心に脂肪がついた肥満症によく使われる漢方薬です。特に、いわゆる「太鼓腹」と表現されるような重役タイプの肥満に効果的とされています。東洋医学においては漢方に分類され、身体にこもった熱を下げ、老廃物を排出する効果があります。この記事では、防風通聖散の効果や副作用について詳しく解説し、市販で購入できるおすすめの防風通聖散についても紹介します。
防風通聖散に含まれる成分とその効果
防風通聖散には様々な成分が含まれており、それぞれが異なる効果を持っています。以下に代表的な成分とその効果をまとめます。
成分 | 効果 |
---|---|
大黄・芒硝・甘草 | 胃腸内の食毒を改善 |
防風・麻黄・連翹・薄荷・荊芥 | 汗を出しやすくする |
桔梗・山梔子・連翹・大黄・薄荷・黄・石膏 | 体内の熱を改善 |
白朮・滑石 | 水毒の改善 |
当帰・芍薬・川 | 血流の改善 |
防風通聖散が効果的な症状
防風通聖散は、以下のような症状に効果的です:
1. 便秘症
防風通聖散には、胃腸の動きを活発にし、便秘を改善する効果があります。
2. むくみ
体内の水毒を改善し、むくみを解消する効果があります。
3. 肥満症
特におへそを中心に脂肪がついたタイプの肥満に効果的です。
4. 高血圧に伴う動悸・肩凝り・のぼせ
血流を改善し、これらの症状を和らげることができます。
病院でダイエット目的で防風通聖散を処方・推奨することはある?
防風通聖散は、肥満と診断された方が食事運動療法を行う際の補助的な薬として使用されることがあります。内服せずに食事運動療法を行った場合と比較して、腹部内臓脂肪がより低下し、基礎代謝量が増加するというエビデンスもあります。特に高血圧もある肥満の方に対しては、西洋医学の降圧薬と併用されることもあります。
防風通聖散の効果が出やすい人って?
防風通聖散は、体質が合っていると効果が期待できます。特におへそ周りを中心に脂肪がついている「重役タイプ」の肥満に効果的です。しかし、体質が合わない場合は効果が期待できないこともあります。
防風通聖散の効果が期待できる方
体力がある方、脂肪が全身に均等についている方、便秘がちな方。
防風通聖散の効果が期待できない方
体力がない方、脂肪が部分的にしかついていない方、胃腸が弱い方。
市販の防風通聖散の選び方
市販の防風通聖散を選ぶ際には、以下のポイントを参考にすると良いでしょう。
①満量処方(配合量)で選ぶ
漢方薬には、日本薬局方で定められた最大量が含まれた『満量』、最大量に対して半分の薬草だけが使われた『1/2量』、最大量の2/3だけ含まれていたものが『2/3量』があります。より効果を求める際には満量を選び、マイルドなものを求めるなら2/3量や1/2量を選ぶと良いでしょう。
②飲みやすさ(錠剤の種類)で選ぶ
漢方製剤には錠剤、顆粒剤、散剤(粉薬)の種類があります。自分に合った飲みやすい種類を選びましょう。
種類 | 特徴 |
---|---|
錠剤 | 比較的長期保管ができ、用量もわかりやすい。苦い味を隠すようコーティングされている。 |
顆粒剤 | 粒の直径が0.1~1mm程度で粉薬よりも粒が大きく飲みやすいように工夫されている。 |
散剤 | 錠剤や顆粒剤に比べ早く体内に吸収されるため、早い効果が期待できる。 |
③1回の錠数と1日服用回数を見て選ぶ
市販の防風通聖散は錠剤タイプ製品が多く、1回の錠数と1日の服用回数は製品によって異なります。満量処方の防風通聖散は基本的には1日3回服用のものが多く、大人だと1回の錠数も4~6錠などの用法・容量が定められています。
防風通聖散の副作用と注意点
防風通聖散は効果的な漢方薬ですが、副作用や注意点もあります。以下に主要な副作用と注意点をまとめます。
1. アレルギー反応
防風通聖散に含まれる成分にアレルギーがある場合、湿疹やかゆみ、発熱、倦怠感などの症状が現れることがあります。異常を感じた場合はすぐに使用を中止し、医師に相談してください。
2. 下痢や腹痛
防風通聖散の成分には排便を促す効果があるため、下痢や腹痛が起こることがあります。特に胃腸が弱い方や元々軟便の方は注意が必要です。
3. 発汗
発汗作用があるため、体力のない方や元々汗をかきやすい方は注意が必要です。過度の発汗により体力が消耗することがあります。
4. その他の注意点
甲状腺疾患がある方や肝臓の数値が良くない方は、防風通聖散の使用を避けるか、医師に相談することをおすすめします。
防風通聖散と併用すると良い飲み合わせ
防風通聖散の効果をさらに高めるために、他の漢方薬を併用することがあります。以下に代表的な併用漢方薬を紹介します。
1. 桂枝茯苓丸
血流を改善する効果があり、防風通聖散と併用することで老廃物を流れやすくすることが期待できます。
2. 通導散
こちらも血流を改善し、体内の老廃物を排出する効果があります。防風通聖散と一緒に使用することで、より高い効果が期待できます。
防風通聖散に関するよくある質問
防風通聖散についてよくある質問をまとめました。
Q: おならが出やすくなる?
A: 生薬の働きにより腸の動きが良くなるため、お腹に溜まったガスが出やすくなる可能性があります。
Q: 妊娠中に服用しても大丈夫?
A: 妊婦や妊娠している可能性のある方は使用を避けるべきです。防風通聖散に含まれる成分には子宮収縮作用があり、流早産の危険性があります。
Q: 授乳中に服用しても大丈夫?
A: 授乳中も使用を避けるべきです。成分が母乳を通じて乳児に行き渡り、下痢を引き起こす可能性があります。
Q: 便秘が改善されても痩せない?
A: 防風通聖散に適した体質でない場合は、服用を続けても効果が出ない可能性があります。おへそ周りを中心に脂肪がついた「重役タイプ」の体質が合っていると言われています。
防風通聖散の正しい飲み方
防風通聖散の効果を最大限に引き出すためには、正しい飲み方を守ることが重要です。
1. 空腹時に服用する
空腹時の方が吸収が高まるため、食前30分前、または食後2時間後に服用するのが理想的です。
2. お湯で服用する
できればお湯で服用することで、血行を良くし成分の吸収を助けます。顆粒タイプの場合は、溶かして飲むと効果的です。
3. 飲み忘れた場合
飲み忘れた場合は、次の食事の直前に飲むか食後に飲むのも可能です。
まとめ
防風通聖散は、便秘やむくみ、肥満症に効果的な漢方薬であり、おへそを中心に脂肪がついた「太鼓腹」タイプの肥満に特に効果があります。しかし、副作用や注意点もあるため、使用前には体質や健康状態を確認し、必要に応じて医師に相談することが重要です。正しい飲み方を守り、効果的に利用することで、体調を改善しやすくなるでしょう。